棟板金とは?浮きの修理に必要な費用や工事の流れなどを詳しく紹介

屋根の頂点部分に取り付けられている棟板金(むねばんきん)の浮きは、放置すると深刻な問題を引き起こす可能性があります。
棟板金は屋根材の隙間を埋め、雨水の侵入を防ぐ重要な役割を担っています。
築7~10年ほど経過すると、経年劣化により棟板金の浮きが発生しやすくなります。
この記事では、棟板金の浮きが起きる原因や、修理費用の相場、工事の具体的な流れについて詳しく解説します。
棟板金の浮き修理に関する正しい知識を身につけ、適切なタイミングで対処することで、建物を長く守ることができます。
棟板金とは
屋根の最も高い位置にある棟(むね)と呼ばれる部分には、屋根材の継ぎ目があります。
この部分を保護し、雨水の侵入を防ぐために取り付けられるのが棟板金です。
主にスレート屋根(コロニアル、カラーベスト)や金属屋根で使用され、全住宅の約6割で採用されている一般的な部材です。
棟板金の構造
棟板金は、単独で設置されているわけではなく、複数の部材で構成された仕組みになっています。
まず屋根の面と面が接する部分に、貫板(ぬきいた)と呼ばれる下地材を取り付けます。
この貫板は、屋根材をしっかりと固定する土台となります。
その貫板の上から、への字型をした金属製の板である棟板金を被せていきます。
棟板金は横から釘やビスで貫板に固定され、屋根全体を保護する構造となっています。
このように、貫板と棟板金が組み合わさることで、屋根の頂点部分の防水性と耐久性を確保しています。
棟板金の役割
棟板金には3つの重要な役割があります。
- 雨水の浸入を防ぐ
- 屋根材の固定と飛散防止
- 建物の外観デザインの向上
屋根の頂点部分は風雨の影響を最も受けやすい場所です。
そのため、棟板金による確実な防水と保護が必要になります。
屋根材の固定という面では、台風や強風による屋根材の飛散を防ぐ重要な役目も果たしています。
木製の貫板だけでは防水機能が不十分ですが、金属製の棟板金でカバーすることで、防水性と耐久性が大幅に向上します。
棟板金の素材
棟板金の素材は、時代とともに進化してきています。
2000年代以前は、亜鉛メッキを施したトタンが主流でした。
トタンは低価格で軽量という利点がありましたが、熱を通しやすく、外気の影響を受けやすいという欠点がありました。
現在は、耐久性と耐候性に優れたガルバリウム鋼板が標準的な素材として使用されています。
ガルバリウム鋼板は、トタンと比べてやや価格は高くなりますが、以下のような優れた特徴があります。
- 錆びに強い
- 軽量で加工がしやすい
- 耐震性に優れている
- 美しい外観を保てる
棟板金の耐用年数
棟板金の一般的な耐用年数は15~25年とされています。
ただし、これは素材自体の寿命であり、実際のメンテナンス時期はもっと早くなります。
経年劣化により釘が抜けたり、棟板金が浮いたりする症状は、築7~10年程度で現れ始めます。
そのため、この時期を目安に定期的な点検を行うことが推奨されています。
以下のような環境では、劣化が通常よりも早く進行する可能性があります。
- 台風や大雨の多い地域
- 海に近い場所(塩害の影響)
- 日当たりが特に良い場所
定期的なメンテナンスを行うことで、棟板金の寿命を延ばし、結果的に修理費用の削減にもつながります。
関連記事:屋根塗装は意味がない?必要ないといわれる理由とスレート屋根に不必要な理由
棟板金が浮く状態とは
棟板金の浮きは、建物の安全性に関わる重要な問題です。
棟板金が本来の位置から浮き上がることで、防水機能が低下し、さまざまな不具合につながる可能性があります。
棟板金の劣化は、見た目ではわかりにくい場合もありますが、以下のような症状が見られたら要注意です。
- 強風時に音が鳴る
- 板金の端部が浮き上がっている
- 釘やビスの頭が出ている
- 継ぎ目に隙間が見える
棟板金が浮く原因とは
棟板金の浮きは、さまざまな要因が重なって発生します。
主な原因は、釘やビスの緩みです。
最も一般的なのが、棟板金の熱膨張による影響です。
金属である棟板金は、昼間の熱で膨張し、夜間の冷えで収縮します。
この膨張と収縮を毎日繰り返すことで、固定用の釘やビスが少しずつ緩んでいきます。
もう1つの重要な原因は、貫板の劣化です。
貫板は木材でできているため、以下のような状況で腐食が進行します。
- 釘の緩みから雨水が侵入
- 結露による湿気の蓄積
- 通気不足による木材の劣化
これらの要因は単独で、または複合的に作用して棟板金の浮きを引き起こします。
棟板金浮きは不具合のサイン
棟板金の浮きは、放置すると深刻な問題に発展する可能性がある重要なサインです。
早期発見・早期対応が建物を守るポイントとなります。
以下のような状態が見られたら、棟板金の不具合が進行している可能性があります。
- 風が強い日にカタカタという音がする
- 雨樋に釘やビスが落ちている
- 棟板金の継ぎ目に隙間がある
- 板金表面に著しい色褪せや錆びがある
これらの症状は、以下のような深刻な問題につながるサインとなっています。
- 防水機能の低下による雨漏りの発生
- 貫板の腐食による構造的な問題
- 台風時の飛散による近隣への被害
- 建物の耐久性の著しい低下
棟板金の修理をしないとどうなる?
棟板金の浮きを放置すると、建物に深刻なダメージを与える可能性があります。
屋根の頂点部分という重要な場所だけに、その影響は広範囲に及びます。
修理を先送りにすることで、当初は小さな不具合だったものが、建物全体に関わる大きな問題へと発展するケースも少なくありません。
以下では、具体的にどのような問題が起こり得るのかを詳しく解説していきます。
貫板の腐食
棟板金の浮きを放置すると、まず貫板の腐食が始まります。
これは棟板金全体の構造を脆弱化させる重大な問題です。
棟板金が浮くと、その隙間から雨水が内部に侵入します。
木材である貫板は、この水分を吸収することで腐食が進行していきます。
腐食した貫板には以下のような症状が現れます。
- 材質が柔らかくなる
- 釘やビスが効かなくなる
- 木材が膨張して変形する
- 表面が黒ずんでくる
このような状態になると、新しい釘を打ち直しても固定力が得られません。
その結果、貫板ごと交換する大規模な工事が必要となり、修理費用も大幅に増加します。
棟板金が飛散
棟板金の浮きが進行すると、強風や台風時に飛散する危険性が高まります。
飛散した棟板金は、重大な事故を引き起こす可能性があります。
棟板金が飛散すると、以下のような被害が発生する恐れがあります。
- 近隣住宅の屋根や外壁を損傷
- 駐車中の自動車を破損
- 窓ガラスを割る
- 通行人がけがをする
とくに棟板金は金属製で先端部分が鋭いため、飛散時の破壊力は想像以上に大きくなります。
台風シーズンを前に棟板金の状態が気になる場合は、早めの点検と修理を検討する必要があります。
また、一度飛散してしまうと、応急処置を含めた緊急の修理が必要となり、通常の修理よりも費用が高額になることも考慮すべきポイントです。
雨漏りが発生する
棟板金の浮きによって防水機能が失われると、建物内部への雨水の侵入、すなわち雨漏りが始まります。
雨漏りは建物にとって深刻な被害をもたらす要因となります。
雨漏りによって、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 天井のシミや変色
- 壁紙の剥がれ
- 木材の腐食や劣化
- カビの発生
- 電気配線の漏電リスク
さらに雨漏りを放置すると、建物の構造部分にまで影響が及び、柱や梁が腐食する可能性があります。
このような状態になると、建物の強度が低下し、最悪の場合は倒壊の危険性も出てきます。
雨漏りの修理には、原因の特定から補修まで専門的な技術が必要となり、工事費用も高額になりがちです。
棟板金の修理費用
棟板金の修理費用は、劣化状態や修理範囲によって大きく異なります。
ここでは、工事内容別の費用相場を詳しく解説します。
修理方法は、大きく分けて以下の2種類があります。
修理の種類 | 工事内容 | 費用相場 |
釘打ちコーキング補修 | 既存の棟板金を活かした部分補修 | 1.5~5万円 |
棟板金の交換 | 貫板含めた全体交換 | 3~20万円 |
ただし、これらの費用に加えて、ほとんどの場合で足場代が必要となります。
足場の設置には15~18万円程度の追加費用が発生します。
釘打ちコーキング補修は、棟板金本体は問題なく、釘の浮きのみが発生している場合に選択される工事です。
既存の釘を打ち直し、コーキング処理を施すことで、棟板金の固定力を回復させます。
一方、棟板金の交換は以下のような場合に必要となります。
- 貫板が腐食している
- 棟板金本体が劣化している
- 台風で棟板金が飛散した
- 雨漏りが発生している
関連記事:雨漏り修理で利用できる保証とは?修理に際する注意点を解説
棟板金修理の工事流れ
棟板金の修理工事は、通常1~2日程度で完了します。
ここでは、一般的な工事の流れを解説します。
- 既存の棟板金と貫板の撤去
– 古い棟板金を慎重に取り外します
– 貫板の状態を確認し、必要に応じて撤去します
– 周辺部分の清掃を行います - 釘穴のコーキング処理
– 既存の釘穴をコーキング材で埋めます
– 雨水の侵入を防ぐため丁寧に施工します
– 必要に応じて下地の補修も行います - 新しい貫板の設置
– 耐久性の高い貫板を設置します
– 最近では腐食に強い樹脂製の貫板も使用されています
– 水平を確認しながら固定します - 新しい棟板金の取り付け
– ガルバリウム鋼板などの新しい棟板金を設置します
– ステンレス製のビスで確実に固定します
– 継ぎ目は防水性を考慮して施工します
工事後は、施工箇所の点検と清掃を行い、不具合がないことを確認して完了となります。
棟板金修理は雨漏りする前に信用できる業者に修理依頼しよう
棟板金の浮きは、放置すると建物に深刻なダメージを与える可能性がある重要な問題です。
早期発見・早期対応が、建物を長く守るポイントとなります。
修理を検討する際は、以下の点に注意して業者を選びましょう。
- 見積もり内容が明確で分かりやすい
- 工事実績が豊富である
- アフターフォローが充実している
- 火災保険の申請サポートがある
棟板金の修理は、雨漏り修理30分にお任せください。
大規模修繕工事で培った高い技術力と、豊富な修理実績を持つ当社なら、確かな技術で棟板金の修理を行います。
お問い合わせから最短30分での現場確認が可能で、スピーディーな対応を心がけています。
地域密着だからこそできる丁寧な施工と、修理後の定期点検を含むアフターフォローで、お客様の大切な住まいを守ります。
まずは無料見積もりから、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者

二瓶義哉(Yoshiya Nihei)
株式会社NK代表取締役
高校を卒業後、不動産の営業、ITコンサルタントを経験後、29歳で防水工事専門会社へ就職。
他業種だからこそ経験できたことを生かし、建築業界の枠にとらわれない視点でお客様への提案等を行うことにより、大手施工管理会社からの信頼を獲得。現在は雨漏りしない為の調査方法・修理方法を研究し雨漏り修理成功率99%を達成。
<略歴>
2018年 防水工事専門業者にて防水施工に従事
2021年 株式会社NKへ就職
2024年 代表取締役へ就任
現在に至る
<資格>
有機溶剤作業主任者
化学物質管理者
職長 安全衛生責任者
クレーン・デリック運転士
ご予算にあわせた修理プランをご提示します。
まずはご相談から/