軒ゼロ住宅が雨漏りしやすいのはなぜ?雨漏り対策も紹介

「軒ゼロ住宅が雨漏りしやすい原因とは?」
「軒ゼロ住宅のメリットとデメリットが知りたい」
「軒ゼロ住宅でとくに雨漏りしやすい箇所・対策方法は?」
最近流行りの「軒ゼロ住宅」ですが、実は雨漏りしやすいと言われています。
そこで本記事では、軒ゼロ住宅の雨漏りについて解説していきます。
持ち家で雨漏りが発生している方は、ぜひ最後までご覧ください。
「軒ゼロ」とは
「軒ゼロ」とは、建物の軒(のき、屋根のはみ出した部分)がほとんどない、あるいはまったくない設計の建造物のことを指します。
モダンな外観を追求した建築スタイルのひとつで、スッキリとした直線的なファサード(正面から見た建物の造形)を実現するためによく採用されています。
ただし、軒がないことによって雨水の直接的な影響を受けやすく、壁や窓への防水処理が重要になります。
これについては、詳しく後述します。
軒ゼロ住宅のメリット
ここからは、軒ゼロ住宅の4つのメリットについて解説していきます。
- 住宅の外見がおしゃれに見える
- 室内空間を広く確保できる
- 室内が明るく見える
- コストを抑えられる
それぞれ見ていきましょう。
メリット①住宅の外見がおしゃれに見える
軒ゼロ住宅の最大の魅力は、ミニマリスティックでモダンな外観です。
軒がないことで、屋根と壁が一体化して、シャープな直線が特徴的なファサードを作り出します。
スマートで洗練されたイメージは、現代的なデザインを好む人にとって好印象に見られ、都市の景観や限られた敷地でも際立ちます。
デザイン性を重視する方にとっては、魅力的な選択肢といえるでしょう。
メリット②室内空間を広く確保できる
軒ゼロ住宅にすることで、建築基準法で規定された建ぺい率(土地面積と建築された建物面積の割合)の制限を最大限に活かせます。
軒が出ない分、建物の外壁を敷地境界に近づけられるため、同じ敷地面積でも室内を広く取ることが可能になります。
これにより、限られたスペースのなかで広々としたリビングエリアや、余裕を持った間取りを実現できるため、居住空間の快適性が向上します。
メリット③室内が明るく見える
軒ゼロ住宅では屋根が突き出さないため、天窓や大きな窓を効果的に配置しやすい点も魅力です。
これにより自然光が室内にたくさん入り込み、明るく開放的な空間を創出して、居心地の良いリビング空間を演出することができます。
また、自然光が多く入り込む設計にすることで、日中は照明に頼らずに、エネルギーの節約にもつながるでしょう。
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メリット④コストを抑えられる
軒ゼロ住宅は屋根の構造がシンプルなため、建築にかかる材料・工事コストを抑えることができます。
また、屋根の突出部がないので雨樋や軒先の細部に使う資材が削減される分、全体の施工コストを下げる助けになります。
さらには工期の短縮にもつながり、それに伴う経費節約にも寄与してくれるため、コストパフォーマンスを重視する方には嬉しいメリットといえるでしょう。
軒ゼロ住宅のデメリット
軒ゼロ住宅は、屋根が建物をはみ出していないため、壁面に雨が直接打ち付けます。
このため、壁材や窓周辺の防水性が重要となり、設計や施工に細心の注意が必要です。
不十分な場合、雨水が侵入しやすくなり、結果的に雨漏りのリスクが高まります。
定期的なメンテナンスが欠かせません。
軒ゼロ住宅が雨漏りしやすい原因
次に、軒ゼロ住宅が雨漏りしやすい2つの原因を解説していきます。
- 直射日光により外壁が傷む
- 外壁と屋根のあいだから雨水が侵入する
それぞれ見ていきましょう。
原因①直射日光により外壁が傷む
軒ゼロ住宅では、軒がないために壁面が直射日光を受けやすくなります。
日光による壁材の劣化や変色が進行しやすく、とくに防水性に影響を受ける可能性があります。
これが長期にわたると、外壁のひび割れから雨水が侵入し、雨漏りの原因となるわけです。
耐候性のある素材の選定や、壁の保護が重要になります。
原因②外壁と屋根のあいだから雨水が侵入する
軒ゼロ住宅では、外壁と屋根の接合部が露出していて、軒が雨水を遮る役割を担わないため、接合部に雨水が直接流れ込むリスクがあります。
ここが密閉されていなかったり、防水処理が不十分だったりすると、時間とともに雨水が建物内部に侵入し、雨漏りを引き起こす可能性が高まります。
軒ゼロ住宅でとくに雨漏りしやすい箇所
ここからは、軒ゼロ住宅でとくに雨漏りしやすい3箇所を紹介していきます。
- 外壁
- 窓サッシ
- 外壁と屋根の取り合い部分
それぞれ確認してください。
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外壁
軒ゼロ住宅において、外壁は雨漏りしやすいポイントです。
軒がないため壁面が直接雨に晒され、水の浸透や壁材の劣化が進みやすい特徴があります。
間違った施工や経年による劣化で防水機能が低下すると、雨水が壁内に入り込み、最終的に内部への雨漏りへとつながります。
定期的なメンテナンスと、高い防水性能をもつ素材の選択が重要です。
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窓サッシ
軒ゼロ住宅では、窓サッシもとくに雨漏りのリスクが高い部分です。
軒がないため雨水が直接窓にあたり、サッシの防水性が試されます。
防水シーリングの劣化や施工不良があると、時間とともに雨水が窓の隙間から侵入し、内部への雨漏りにつながるでしょう。
しっかりとした取り付けと定期的なメンテナンス、耐候性の高い材料の使用が重要です。
関連記事:窓枠やサッシからの雨漏りの原因とは?応急処置の方法も紹介
外壁と屋根の取り合い部分
外壁と屋根の取り合い部分も、軒ゼロ住宅では雨漏りリスクが高い箇所です。
軒がないと、この接合部に雨水が直接打ち付けられます。
接合部が不十分に防水されていると、水が侵入しやすく、壁体や屋根材の継ぎ目から雨水が浸入する可能性が増します。
適切な防水処理と定期点検が不可欠です。
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軒ゼロ住宅の雨漏り対策の方法
最後に、軒ゼロ住宅の雨漏り対策の方法を5つ解説していきます。
- 定期的にメンテナンスする
- 外壁に防水加工する
- 雨どいを詰まらせない
- 点検口を設ける
- 適切な位置に換気口をつける
それぞれ確認してください。
方法①定期的にメンテナンスする
定期メンテナンスは軒ゼロ住宅の雨漏り対策で非常に重要です。
これには外壁や屋根、窓サッシなど、雨水の影響を直接受ける箇所の点検が含まれます。
シーリング材の亀裂や剥がれはすぐに修復し、排水の流れを妨げるゴミや詰まりは清掃しましょう。
また、防水層の状態もチェックし、劣化が見られたら迅速に補修・改善することが肝心です。
具体的には、色褪せや汚れやすさ、チョーキング(粉をふく現象)などがメンテナンスの目安になります。
方法②外壁に防水加工する
外壁に防水加工を施すことも、軒ゼロ住宅の雨漏り対策に大変効果的です。
この加工は、外壁材に防水性を高める塗料やシート、コーティングを適用することで、雨水が壁体に浸透するのを防ぎます。
とくに、耐久性と耐候性に優れた材料を使い、紫外線や温度変化にも強い仕上げをすることで、外壁を長期にわたって保護できます。
定期的な外壁の点検とともに、必要に応じた再加工も重要です。
方法③雨どいを詰まらせない
雨どいの詰まりは軒ゼロ住宅の雨漏りに直結する問題です。
雨どいが詰まると、雨水は適切に排水されず、溢れてしまいます。
これが壁面や取り合い部分に影響し、雨漏りを引き起こす原因になります。
そのため、落ち葉や枝などで雨どいが詰まらないよう、定期的な清掃が必要です。
季節の変わり目や強い風雨の後はとくに注意が必要です。
清掃を怠ると、雨漏りのリスクが高まるだけでなく、雨どい自体の故障にもつながりかねません。
方法④点検口を設ける
点検口を設けることが、軒ゼロ住宅の雨漏り対策で役立つこともあります。
この点検口は、屋根や壁内部などの難アクセス箇所に設置され、定期的な検査やメンテナンスを容易にします。
水漏れの初期兆候を発見したり、隠れた問題点を修復したりする際に非常に効果的です。
これにより、構造体の劣化を早期に発見し、大がかりな修理や高額な費用の発生を防げるでしょう。
方法⑤適切な位置に換気口をつける
適正な位置に換気口を設置することも、軒ゼロ住宅の雨漏り対策にとって重要です。
換気口が正しい場所にあれば、湿気が溜まりにくくなり壁内の結露を防げます。
適切な換気によって内部の湿度がコントロールされるため、雨漏りのリスクが減少します。
さらに、空気の流れが改善されることで、住宅内の快適性も向上するでしょう。
雨水が入り込まないよう、換気口の位置や設計には細心の注意が必要です。
軒ゼロ住宅は雨漏りしやすい
「軒ゼロ住宅」とは、屋根の軒先がほぼない、もしくはまったくない住宅のことです。
通常は軒の部分が雨や直射日光から窓や壁を守る役割を果たしているため、軒が短いとその保護機能が低下します。
これにより、雨水が直接壁面に打ち付けられやすくなり、壁体などの防水性が十分でない場合、雨漏りしやすくなる可能性があるわけです。
スタイリッシュな見た目ですが、設計段階で適切な防水処理や雨水の排水対策が重要になる非常に繊細な住宅といえるでしょう。
この記事の監修者

二瓶義哉(Yoshiya Nihei)
株式会社NK代表取締役
高校を卒業後、不動産の営業、ITコンサルタントを経験後、29歳で防水工事専門会社へ就職。
他業種だからこそ経験できたことを生かし、建築業界の枠にとらわれない視点でお客様への提案等を行うことにより、大手施工管理会社からの信頼を獲得。現在は雨漏りしない為の調査方法・修理方法を研究し雨漏り修理成功率99%を達成。
<略歴>
2018年 防水工事専門業者にて防水施工に従事
2021年 株式会社NKへ就職
2024年 代表取締役へ就任
現在に至る
<資格>
有機溶剤作業主任者
化学物質管理者
職長 安全衛生責任者
クレーン・デリック運転士
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